2008年06月29日

Bud Powell: Best (Steeplechase)

Bud Best
バド・パウエルには大学のように「前期」と「後期」があって、前期はもう天才の極地。次から次へとフレーズが飛び出るし、どんなにチョッパヤでもものともせずガンガン進んでいた時期で、アルバム的には『バド・パウエルの芸術』、『ジャズ・ジャイアント』、『ジニアス・オブ・バド・パウエル』それに、ブルーノートの『Vol.1』『Vol.2』などを指します。一方、後期とは上記のアルバム以外の時期を指し、天才性の閃きに翳りが出てきたとか、指がもつれるようになったとか、精神に異常を来たしたとか色々言われていますが、要は前期ほどの輝きや興味を持てなくなった時期を指します。

もっとも、日本で人気の「クレオパトラの夢」は後期作品のアルバムに属しているし、後期にも波があって、いい時期と悪い時期があることは油井先生が指摘している通りです。今日紹介するのは、後期も後期、1962年にストックホルムのクラブ「ゴールデン・サークル」で録音された『アット・ゴールデン・サークル』全5集のベスト盤です。バドの『ゴールデンサークル』は名盤なんですが、何せ5枚もあるし、重複曲も多いし、うめき声がいつも以上だし、そもそも評判の悪い後期だし、ということで知る人ぞ知るといった位置に落ち着いています。その中から選りすぐったベスト盤ということで、バドの全キャリアを通じてのベスト集ではないことを断っておきます。また、未発表盤からも4曲ほど取られています。

録音は1962年4月19日と23日、および9月という記録です。メンバーはバドの他、ドルビョン・フルトクランツ(b)、スーネ・スボングベリー(ds)となっています。地元のミュージシャンでしょうか。時期的には大江健三郎が「老いたセイウチ」とたとえた時期と重なるかもしれません。

いつも通り1曲づつ紹介してもいいのですが、このアルバムに関してはそれを避け、特筆すべきトラックについて書きたいと思います。

まずは2曲目の "I Remembaer Clifford"。音楽が止まりそうで止まらない、ギリギリのところで圧倒的に成立している名演です。以前、若い友人と一緒に音楽を聴いていて、ある音楽家(いわゆるアイドル)の演奏を聴いていて、「この音楽は止まっているね」と言ったところ、「どういうことだ?」と質問を受け、音楽が止まる感覚が分からない人もいるのかと気づきました。ということでここに私なりの考えを書いてみたいと思います。

「音楽が止まっている」というのは、休符と関係します。休符を無意味に休んでいるような音楽は、どこか「止まっている感じがする」。仮にインテンポでも休符で気を抜いた途端、音楽は止まります。ドラムやベース、ポップスなら打ち込みがステディーなビートを刻んでいるので止まりそうになくても、やっぱり休符での気の抜き具合が伝わってくるような時、つまり、休符以前と休符以降がブッツリと切れているような時、私は「止まっている」と表現します。

ジャズだと、普通にやっていれば止まらないんですが、あまりにもテンポを落とすと、休符に漂う緊張感いかんで、止まって聴こえる時がある。バドのこの曲の演奏はテンポが遅すぎて=休符の間が長くて、普通なら止まって聴こえそうなほどの演奏なんですが、流れていく。理屈としては、おそらく音楽の底流に細分化された急速なビートが流れているんでしょうが、分かりやすくいえば、休符を休んでいない、休符こそ歌っているわけです。

おそらくもうボロボロだったと思うんですね、この時期のバドは。全盛期に比べて指も動かないし。にもかかわらず、音楽になっているのはこの点あるんじゃないかと思うわけです。同じことは、もう少しテンポは上がりますが、 "Like Someone in Love" にも当てはまります。この曲といったらバドを抜きには語れないほどはまった演奏です。

この時期のバドは、うなりつつ口をモグモグさせていた、いわゆる「モグモグのバド」です。Youtubeにこの時期の映像があったので貼っておきます。曲は "Anthropology" でリズム・チェンジです。



いずれにせよ『ゴールデン・サークル』は枚数が多い上に、散漫なところもあり、こういうベスト集は本当に助かります。これで全体を俯瞰した後、1枚づつ買い揃えていくのがかしこいやり方だと思います。このアルバムの魅力にはまれば、立派なバド・ファンです。いまは廃盤ですが、丁寧に中古店を当たれば必ずあります。ジャケは上の画像を参照。

ラベル:jazz, ジャズ
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2008年06月15日

Wynton Kelly: Smokin' at Half Note (Verve)

halfnote
フルハウス』で共演したウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリーは相性がよかったのか、このライブ盤で再び名演を繰り広げます。

録音は1965年6月と9月。場所はライブ録音がニュー・ヨークのクラブ「ハーフ・ノート」でスタジオ録音がヴァン・ゲルダー・スタジオ。メンバーはウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)のウィントン・ケリー・トリオにウェス・モンゴメリー(g)が加わった形になっています。

まず、何はともあれ1曲目の "No Blues" です。ウィントンはイントロの天才だけれど、ここでもまたその天才性が発揮されて「絶対名演になる」という感じのイントロ。トップ・バッターはウェス。畳み掛けるようなシングルトーンによるリフをしつこいぐらい繰り返して演奏のボルテージを高めていき、同時にグループの一体化(グルーヴ感)を構築するや、オクターブ奏法に切り替えスリリングなソロを展開。続いてコード奏法に移る。この展開を何コーラスにもわたって繰り返し、ソロ全体が大きなリフのようになっていますが、間然とするところは全くありません。ウィントンも伴奏をしながらウェスに聴きほれているような風情がします。続くウィントンは全盛期ほどの迫力はありませんが、ウェスと同じくしつこいようなリフを、珠を転がすようなタッチで弾いていきます。途中ウェスの合いの手に応えたりと充実したソロです。ポール・チェンバースのベースソロを経て合奏に戻って終わり。13分にわたる熱演ですが、スリリングな展開に時間を忘れ、あっという間に終わったような感じがします。

2曲目のバラード "If You Could See Me Now" はトリオによるドラマティックなテーマ演奏に続いて、ウェスのギターが先発。これがまたいい。レイド・バックした感じのゆったりとした展開の中に恐ろしいまでのテクニックをきっちり詰め込み、精緻を極めたソロになっています。この辺がグラント・グリーンとの違いでしょうか 8) もっとも、グラント・グリーンも好みなんですがね。ウィントンのソロはそのままエンディングに入っていくような感じで、ドラマティックなソロ。

3曲目 "Unit 7" はベーシストのサム・ジョーンズによる作品。ウィントンが先発して華麗なソロを展開。その後登場のウェスは非常にエキサイティングです。

4曲目の "Four on Six" はウェス・オリジナルで「サマータイム」のコード進行を使っています。ウェスのソロは自分のオリジナルということもあって実に素晴らしい。ギター奏法のショーケースといっても過言ではありません。ウィントンは元歌「サマータイム」のメランコリックな気分がよく表れたソロです。ポールのソロはアルコ弾き。ジミー・コブのドラムソロまで付いています。最後の合奏で聞こえるのは歴史的な録音『ミントンズ・ハウスのチャーリー・クリスチャン』の "Swing to Bop (Topsy)" に聴かれるフレーズですね。

ラストはスタンダードの "What's New?"。ウェスによるこの曲のテーマ演奏を聴くと、彼のバラード解釈がパット・マルティーノにダイレクトな影響を与えていることが分かります。ウィントンのソロになるとイン・テンポに転じ、ドラムがステディーなビートを刻んでわりと明るめの雰囲気に変わります。その雰囲気を保ったままウェスがソロを半コーラス取りテーマに戻ります。味わい深いバラードだと思います。

『フル・ハウス』、『インクレディブル・ジャズ・ギター』と並ぶウェスの名盤。

posted by G坂 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月14日

Louis Armstrong: Hello, Satchmo! Again (UM)

hello sachimo
久々にCDを購入しました。このCDはサッチモのコンピレーションで『ハロー・サッチモ!〜ミレニアム・ベスト>』と対になったものです。このアルバムも、今回買ったアルバムもその音源はほとんど網羅しているのですが、こちらでフィーチャーされている "Yellow Dog Blues" や "St. Louis Blues" の収められた『W.C.ハンディー集』のLPをこの前取り出したら激しく黴が生えていて、あわててクリーニングしたものの溝に跡を残したらしくブチブチいうので困っていました。今回セールで安く買えるというメールが届いたので求めることにしました。このアルバムは権利関係を調整して、さまざまなレーベルから選り抜かれた名曲のコンピレーションです。

1曲目 "What a Wonderful World"、邦題『この素晴らしき世界』はあまりにも有名でほとんどの人がご存知だと思います。私もずっと昔からこの曲を知っていましたが「綺麗な曲だな」といった程度の認識で、それほど強い関心はありませんでした。この曲の本当の力に気づかされたのは映画『グッド・モーニング・ヴェトナム』でこの曲が使われるシーンを観たときです。まさにこの歌の歌詞通りの美しい田園がアメリカ軍の北爆で焼かれ、ヴェトナムの青年達がゲリラの疑いで裁判手続きを経ることなく射殺されていくシーンのバックにこれが流れているわけです。何たる皮肉、いや皮肉という言葉を超えて悲劇がそこにはありました。

最近映画のその部分をクリップした動画をYoutubeで見つけましたので、貼っておきます。



ロビン・ウィリアムスはこの惨状に気づかずにこの曲を流しているんですよね。

実際『グッド・モーニング・ヴェトナム』がきっかけとなってこの曲は再ヒットしたそうです。

2曲目 "Do You Know What It Means to Miss New Orleans" は映画『ニューオリンズ』の挿入曲で、映画ではビリー・ホリデイも歌っていますが、このヴィクター吹込みではビリーを除いたメンバーでの演奏。3曲目の "Our Monday STATUS: Publish
DATE" は歴史的な1928年のアール・ハインズとの吹込みではなく、タウン・ホール・コンサートからのもの。

さて4曲目の "On the Sunny Side of the Street"、邦題『明るい表通りで』がこれまたナミダモノ。レスター・ヤングの記事でもかつて書きましたが、レスターの同曲と同じく、明るくて暗い、楽しくて寂しいといったニュアンスの素晴らしさが圧倒的に迫ってくる名演、絶演となっています。

5曲目の "I Surrender Dear" はスタンダード。バニー・ビガードのクラリネットとルイのヴォーカルが全面にフィーチャーされています。

そしてお目当ての "Yellow Dog Blues" と "St. Louis Blues" は『ルイ・アームストロング・プレイズ・W.C.ハンディー』というコロムビアのアルバムからの2曲。両曲ともベッシー・スミスの名演で知られ、「セント・ルイス」のほうでは若き日のルイが伴奏を勤めていますていますが(「イエロードッグ」はジョー・スミスが伴奏)、ここでのサッチモもほとんど頂点を極めたといってもいいような演奏です。「イエロードッグ」における、畳みかけとクライマックスへのもって行きかた、そして上でも書いたニュアンスは比類なきものです。「セント・ルイス」もこれに次ぐ名演で、本来の曲では第2部にあたるハバネラの部分を冒頭に持ってきて、エモーショナルに歌い上げた後、ルイ・プリマという巨漢の女性のボーカルからルイの歌、そして掛け合いへとコミカルに進んでいく、いわゆるアンチ・クライマックス(漸減法)を取りつつ、ラスト・コーラスの合奏ではルイがハイノートを駆使して演奏を盛り上げて終わります。

8曲目の "Basin Street Blues" も1928年の伝説的な吹き込みの一角をなす曲ですが、このアルバムに収められているのは、映画『グレン・ミラー物語』のサントラ音源だそうです。ベイブ・ラッシン(ts)がホーキンス流丸出しのソロを取っていて微笑ましい。ラスト近くでジーン・クルーパのドラムソロが聴かれます。

次は名盤『エラ・アンド・ルイ』からの2曲、 "Cheek to Cheek" と "Nearness of You" です。エラ・フィッツジェラルドというと『イン・ベルリン』の派手なパフォーマンスが圧倒的で、私も最初はこのアルバムが好きだったのですが、聴きなれてくると飽きる。一方ここに聴かれるエラは抑えた味わいが深く、いつまで経っても飽きない歌だと思います。続く11曲目もエラとルイが組んだアルバム『ポギーとべス』から、もちろん "Summertime"。 これも本当に名演です。

12曲目 "When It's Sleepy Time Down South(「南部の夕暮れ」)" はロスのクラブにおけるライブ録音。この曲は彼のバンドのテーマ曲だったそうです。そしてルイ晩年の最大ヒット曲 "Hello, Dolly!" が続きます。このブログのプラグインにも "Hello Dolly"というのがあって、管理画面の上にこの曲の歌詞が出てきます。

14-16は "What a Wonderful World" と同じアルバムに収録されていたものでルイ最晩年の1968年の吹込みから。もはや特に新しいことに挑戦することもなく、トランペットもかろうじて吹いているといった時期ですが、歴史と経験からしか醸し出せない実に味わいのある演奏です。

最後はサッチモのディズニー集から "When You Wish upon a Star (「星に願いを」)"。これも68年の吹き込みですが、やはりルイの人柄、やさしさがにじみ出た歌になっています。

ジャケットは藤子不二雄(A)先生。「どーん!」といってトランペットを吹いてそうなサッチモです :)

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2008年06月10日

Keith Jarrett: Bye Bye Blackbird (ECM)

Bye Bye Blackbird

マイルスは1991年8月25日に亡くなりましたが、その後に出された「トリビュート物」の数は計り知れず、中には「マイルス頼み」のバイショウ的感覚が突出しすぎで、却っていやらしいものもあります。マイルスに限らず、こうしたいやらしい「トリビュート」を見せられてきたジャズファンには、私を含めてトリビュート物に懐疑的な気分を持っている人が多いようです。

このアルバムもまたキースによる「マイルス追悼盤」と言うことが出来ますが、しかし、そんないやらしいトリビュート物ではありません。レコーディングは1991年10月12日、マイルスの死の直後といってもいいような日付ですが、直後過ぎて「んじゃ、死ぬ前から準備していたのか?」という疑念さえおきそうです :P が、まあ、そんなことはないでしょう、演奏を聴けば分かります。メンバーは、いつもの通りゲイリー・ピーコックのベースに、ジャック・ディジョネットのドラム。

1曲目 "Bye, Bye, Blackbird" はマイルスの十八番で、『ラウンド・ミッドナイト』その他のアルバムに彼の演奏を聴くことができますが、キースにとっても得意曲だったらしく、以前に紹介した『アット・ザ・ディア・ヘッド・イン』でも取り上げています。

2曲目 "You Won't Forget Me" は、シャーリー・ホーンの吹き込みでも有名な曲ですが、実にしみじみした悲しい曲想で、マイルスの死を悼むキースの心情が伝わってきます。特に後半、寺島さんの言う「あれ」がでてきます。「あれ」とはキースのスタンダーズ物で、時折原曲のコードや展開を無視してたたみかけるような、美に淫するような哀愁感漂う即興演奏をおこなう部分のことで、この曲でも悲しげな「あれ」が展開されます。

"Butch and Butch"はオリバー・ネルソン作で、正統派バップの香りも高い曲です。ディジョネットのドラムソロが大きくフィーチャーされています。4曲目の "Summer Nights" はアンダーレイティッドなアルバム『クワイエット・ナイト』からの一曲でしょう。キースのは哀愁あるボッサの名演です。

5曲目 "For Miles" はキース他3人名義なので、即興演奏でしょう。マイルスへ捧げた曲です。最初の展開から「天国への7つの階段」となりそうに聞こえますが、そのままポリリズミックなドラムソロへと展開して、その後ベースラインが「ソー・ホワット」みたいなことをはじめた後、キースがスパニッシュ全開に入ってきます。『スケッチ・オブ・スペイン』への敬意でしょうか。後半はスパニッシュあるいは北アフリカ的ななムードをたたえた「あれ」が10分ほど続きます。むしろこの曲は「あれ」のかたまりといってもいいような哀愁に満ちたトラックで、このアルバム中の白眉だと思います。

6曲目の "Straight No Chaser" はモンクの曲で、マイルスは『マイルストーンズ』で取り上げています。ビバップど真ん中という感じの演奏。

7曲目のスタンダード "I Though about You" もマイルスの十八番で、『いつか王子様が』ほか数枚のアルバムでも取り上げている曲で、明るくも物悲しい美曲&美演に仕上がっています。地味だけれど、耳を傾けるとナミダモノの演奏。

8曲目 "Blackbird, Bye, Bye" も3人名義ですが、"Bye, Bye, Blackbird"を下敷きにした即興的な演奏で明るくこのアルバムを締めくくっています。

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2008年06月03日

Art Blakey: The Jazz Messengers (Columbia)

Jazz Messengers
ハード・バップのど真ん中にある曲は何かと聴かれれば、"Nica's Dream"じゃないかと答えています。この曲、作曲はホレス・シルバー、ハード・バップど真ん中からファンキーあたりまでの屋台骨を支えたピアニストで、ブルーノート後期に「宗教物」といわれる懐疑的なレコードを連発したものの、最近は回帰して普通のジャズを堂々と弾いている人です。

彼の "Nica's Dream" といえば、ブルーノートの『ホレスコープ』が有名ですが、この曲に限って言うと、今回紹介する "The Jazz Messengers" の演奏が非常に優れています。録音は1956年(モダンジャズの当たり年です)の4月と5月。メンバーはリーダーのアート・ブレイキー(ds)他、ドナルド・バード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ホレス・シルバー(p)、ダグ・ワトキンス(b)です。この後、ホレスがバードやモブレーを引き連れて独立してしまい、残されたブレーキーはその後ピアノと作曲にボビー・ティモンズを迎え、リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(ts+作曲)をメンバーに、歴史的なアルバム『モーニン』を吹き込んだことを思えば、大人の事情とはいえ歴史の偶然と不思議さに思いをいたします。

1曲目 "Infra-Rae" はハンク・モブレーの曲で急速調とマイナーな曲想が魅力のハード・バップらしい曲。ソロの先発はバード。情熱的なソロが魅力です。続いて三連も豊かなホレスらしいピアノソロ。そして作曲者モブレーのわりとすばしこいソロが続きます。モブレーはパーカーがよく繰り出すフレーズをところどころ引用したりして乗りに乗っています。最後にアンサンブルとブレイキーの4バースを経てブレイキーのドラムソロ。特に後半はドラム・ソロのショーケースになっています。

そして2曲目にして、永遠の名曲 "Nica's Dream"。ここでのバージョンは情熱的なホレスのバッキングにサポートされてモブレーが先発。これが実に味のあるソロ。曲を吹いているというより、何かを語りかけられているような気にさせられる名ソロです。続くバードのソロはクリフォード直系のクルクルと回転するフレージングを基調とした華やかなものです。クリフォードほど上昇下降を展開しませんが、それが彼の個性です。バードの後に出てくるホレスのソロ。冒頭の音を聴いて御覧なさい。どれほど彼がこの曲にかけているか聞こえてきます。そして、時を同じくしてブレーキーが細やかに奏法を変えてきます。これほどお互いの音を聴き合えていたのに・・・ホレスのソロを経て、アンサンブル〜ショートソロの展開となり、曲に戻ります。実に名演。マイナー、ラテン・フレーバー、「マイルス・ロリンズ・コルトレーン」抜き、2管。これぞハード・バップのイデアではないかと思われる演奏です。

3曲目の "It's You or No One" はスタンダード曲。バップ風にアレンジされています。全員が快調にソロを飛ばします。4曲目 "Ecaroh"も優れたハード・バップ曲で、ネーミングはHoraceのアナグラム。メジャーキーですが、不思議と各人のソロがくすんでいるところがやはりハード・バップらしい。5曲目"Carol's Interlude" はモブレー作曲のマイナー曲。これなんかも実にこの時期らしいし、ブレイキーも煽りに煽っているんですよね。 "The End of a Love Affair" はスタンダードですがテーマはラテンリズムで演奏されています。この曲はハービーさんとチャカ・カーンも演奏していて、本当にエバーグリーンな名曲だと思います。

最後はモブレー作曲の、その名も "Hank's Symphony"。チャイナな感じでブレイキーもシンバルを銅鑼に見立てて叩くイントロから急速調なテーマになだれ込みます。テーマ終了後ブレイキーのかなり長いドラムソロが全面にフィーチャーされ、管はアンサンブルを中心とした裏方に徹しています。

下のCDではなんと5曲もプラスされていますが、再発の端境期で妙に高い中古にリンクしています。いま急いで買う必要はありません。いずれ再発されます。

posted by G坂 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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